ウメちゃんとスーチンのプロレスごっこ。
ヒマがあれば3匹入り乱れての、取っ組み合いがはじまる。
一番小さいスーチンだが、果敢に小ギャングのバトルに参戦している。
追いかけっこから始まり、ダイブして相手を押さえ込み、猫キックの応酬である。
お互いに心得たもので、噛むのも傷がつかない程度の甘噛みである。
先日もウメ吉とスーチンの取っ組み合いが行われていたが、スーチンが激しく悲鳴をあげた。
形勢不利になった方が、悲鳴を上げるのは特に珍しい事でもない。
Gとウメ吉もキャーキャー鳴きながらのレスリングはいつもの事である。
が、スーチンの鳴き方は、遊びの域を超えているように聞こえる。
まだまだ小さいスーチンと、最近メキメキと大きくなって、腕っ節も強くなってきたウメ吉とでは、力の差が大きいようにも思う。
とは言え余程のことがない限りは、猫同士のことに介入するのは良くないかと、しばらく様子を見守っていた。
スーチンも懸命に反撃を繰り返し、ウメ吉から逃げるのだが、ウメ吉はしつこく追いかけ、押さえ込みにかかる。
どうしたものかと思案しているところに、冷蔵庫の上で様子を見ていたノンスケが「あぁぁーーん」と思いっきりイヤそうな表情で叫んだ。
驚いて「ノンスケ、あの子らを見てきてあげて」と頼んでみると、即座に飛び降りて、ウメ吉たちが取っ組み合いをしている所へ走っていった。
ノンスケも軍事介入までの必要はないと判断したのか、ウメ吉とスーチンの近くで見守っている。
スーチンの悲鳴に驚いたのか、Gも駆けつけてきた。
しばらく様子を窺っていたGだが、そのうちウメ吉・スーチンの側で一人暴れ出す。
まるでウメ吉の気を逸らそうかとしているように見える。
そうするうちに、スーチンがウメ吉から逃れて、棚の下に避難した。
まあ、やれやれとスーチンを見に行くと、棚の下に潜ってはいるもものの、脅えた様子もないので、大袈裟な悲鳴の割には事態は深刻では無かったのかと、ホッとした。
スーチン:ウメちゃん、しつこいわー。
棚の下に潜り、ウメ吉の魔の手から逃れたスーチン。
次ぎにウメ吉はどうしたかと見に行くと、洗濯機と洗面台の隙間に押し込まれて、ノンスケが隙間を塞ぐように陣取っている。
ウメ吉は隙間で「うーーーー」と唸っている。
ノンスケもじーっと隙間を睨んでいる。
ノンスケに洗濯機と洗面台の隙間に押し込められるウメ吉。
心配そうに見守るG。
まさか、ノンスケ流の制裁か?
その行為が彼ら同士でどのような意味を持つのか分からないが、どうも悪のりし過ぎたウメ吉をノンスケが怒って説教しているように見えてくる。
隙間の入口を塞ぐように陣取るノンスケ。
この状態が10分ほど続いた。
やがてウメ吉も静かになり、ようやく隙間から開放されて部屋に戻ってきた。
その間、時間にして10分程度か。
何が行われていたのかは謎であるが、とりあえずウメ吉の執拗なスーチン追い回しは少しマシになったようである。
ようやく開放されたウメ吉。ふて寝か?
それにしても、ノンスケの行動と、Gの意外な思いやりには驚かされた。
Gは正義の味方か?
スーチンとは女の子同士で、難しいのではないかと懸念していたのだが、思いがけないGの人の良さに彼女らの関係は良好である。
ウメ吉と遊んでいる時も、スーチンが仲間に入りそびれているのに気付くと、誘ってやっているようだ。
ところで、その時デヴィ子さんは?
デヴィ子は知らんよー。
デヴィ子は相変わらずマイペース。
ところで昨日、スーチンが発熱した。
病院でもらった薬もキチンと飲めるし、食欲もあり、今朝はずいぶん元気にはなってきている。
何かを感じているのか、誰もスーチンにちょっかいを出す者は居らず、代わる代わるにスーチンの寝ているカゴベッドを覗いていく。